顕微鏡シリーズ~明視野、位相差~
こんにちは。うちPです。
顕微鏡シリーズ 第二回
ということで、
「明視野顕微鏡と位相差顕微鏡」です。
思ったよりも長くなってしまったので、
今回は、
明視野顕微鏡と位相差顕微鏡の原理
について書いてみます。
位相差顕微鏡の仕組みは次回にします。
明視野顕微鏡(Bright Field; BF)
サンプルに光を当てて、サンプルを透過した光を観察するものが「明視野顕微鏡」です。
上で載せた顕微鏡は、鏡を使って下から光を当てて、
ステージ上のサンプルを透過した光を見ています。
しかし、この方法
色のついたサンプルの観察にはいいのですが、
無色透明なサンプルの観察には向きません。
そして、大抵の細胞は無色透明です。
そこで、使われているのが
「位相差顕微鏡」や「微分干渉顕微鏡」
です。
今回は、「位相差顕微鏡」について書いていこうと思います。
位相差顕微鏡(Phase-Contrast; PC)の原理
光源から出た光がサンプルを通過するとき、
まっすぐサンプルを通過する「直接光」と
曲がってしまう「回折光」に分かれます。
この2つの光は、対物レンズによって集められ、像を作ります。
つまり、明視野顕微鏡で見ているものは、
直接光と回折光が合わさってできた像ということになります。
サンプルがない部分を通過した光が、青
サンプルがある部分を通過した光を、黄色にしてます。
この二つの光は、少し(Δ:デルタ)だけずれています。
ヒトは、この差(位相差:山の位置の違い)を見分けることができないので、
サンプルがどこにあるのかが分かりにくくなってしまいます。
青と黄色の光から、回折光を求めると
マゼンタのようになります。
Δが小さいとき、
マゼンタの回折光は、青の直接光に比べて、
約λ/4だけ遅れています。
↓が1波長=λです。
この、直接光と回折光の位相のずれを利用したのが、
位相差顕微鏡です。
そこで、直接光の位相をずらします。
直接光をλ/4進めてあげると、
このようになります。
回折光と直接光の位相差はλ/2になります。
(青の山とマゼンタの谷が合わさります。)
青+マゼンタ=黄色
なので、サンプルを通過した黄色の光は、
このようになります。
山の高さは、明暗としてみることができます。
サンプルがない部分は青
ある部分は黄色なので、
サンプルがあるところが暗く見えるようになります。
(ダークコントラストと言います。)
これとは逆に、直接光をλ/4遅らせる方法もあります。
その場合は、ブライトコントラストと呼ばれ、
直接光と回折光の位相差が0になるので、
サンプルが明るく見えます。
一般的には、ダークコントラストがよく用いられているようですね。
注意点として、
回折光がλ/4以上ずれてしまうもの、
厚すぎるサンプルの観察には向きません。
ということで、ここまでで1000字を超えてきているので、
位相差顕微鏡の仕組みについては次回にしようと思います!