息抜きと生物学

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顕微鏡シリーズ~明視野、位相差~

こんにちは。うちPです。

 

顕微鏡シリーズ 第二回

 

ということで、

 

「明視野顕微鏡と位相差顕微鏡」です。

 

思ったよりも長くなってしまったので、

 

今回は、

 

明視野顕微鏡と位相差顕微鏡の原理

 

について書いてみます。

 

位相差顕微鏡の仕組みは次回にします。

 

 

 

明視野顕微鏡(Bright Field; BF)

 

サンプルに光を当てて、サンプルを透過した光を観察するものが「明視野顕微鏡」です。


上で載せた顕微鏡は、鏡を使って下から光を当てて、

ステージ上のサンプルを透過した光を見ています。


しかし、この方法

色のついたサンプルの観察にはいいのですが、

無色透明なサンプルの観察には向きません。


そして、大抵の細胞は無色透明です。

そこで、使われているのが

「位相差顕微鏡」や「微分干渉顕微鏡」

です。


今回は、「位相差顕微鏡」について書いていこうと思います。

 

位相差顕微鏡(Phase-Contrast; PC)の原理

 

光源から出た光がサンプルを通過するとき、


まっすぐサンプルを通過する「直接光」と

曲がってしまう「回折光」に分かれます。

 

この2つの光は、対物レンズによって集められ、像を作ります。


つまり、明視野顕微鏡で見ているものは、


直接光と回折光が合わさってできた像ということになります。


サンプルがない部分を通過した光が、青

サンプルがある部分を通過した光を、黄色にしてます。

f:id:Uchi_P:20210130174634p:plain

この二つの光は、少し(Δ:デルタ)だけずれています。

ヒトは、この差(位相差:山の位置の違い)を見分けることができないので、


サンプルがどこにあるのかが分かりにくくなってしまいます。

 


青と黄色の光から、回折光を求めると

マゼンタのようになります。

f:id:Uchi_P:20210130174700p:plain

Δが小さいとき、

マゼンタの回折光は、青の直接光に比べて、

約λ/4だけ遅れています。

 

↓が1波長=λです。

f:id:Uchi_P:20210130184810p:plain

 

この、直接光と回折光の位相のずれを利用したのが、

位相差顕微鏡です。

 


そこで、直接光の位相をずらします


直接光をλ/4進めてあげると、

f:id:Uchi_P:20210130174743p:plain

このようになります。


回折光と直接光の位相差はλ/2になります。

(青の山とマゼンタの谷が合わさります。)

 

青+マゼンタ=黄色

なので、サンプルを通過した黄色の光は、

f:id:Uchi_P:20210130174813p:plain
このようになります。


山の高さは、明暗としてみることができます。


サンプルがない部分は青

ある部分は黄色なので、


サンプルがあるところが暗く見えるようになります。

(ダークコントラストと言います。)

 

 

これとは逆に、直接光をλ/4遅らせる方法もあります。

 

その場合は、ブライトコントラストと呼ばれ、

 

直接光と回折光の位相差が0になるので、

 

サンプルが明るく見えます。

 

一般的には、ダークコントラストがよく用いられているようですね。

 


注意点として、

回折光がλ/4以上ずれてしまうもの、

厚すぎるサンプルの観察には向きません。

 

 

ということで、ここまでで1000字を超えてきているので、

 

位相差顕微鏡の仕組みについては次回にしようと思います!

 

 

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